70年代にフュージョンを切り拓いたブラジルからの刺客 ”deodato” ~後編~

2019.09.20

前編はこちらから
70年代にフュージョンを切り拓いたブラジルからの刺客 ”deodato” ~前編~

究極のグルーブ。時代を超えて熱狂させるジャズ。

この曲を聴けばdeodatoの酔い心地を体感できるのでは無いだろうか。

そして、デオダートの魅力は、ほかの奏者の演奏を邪魔せずに活かす編曲バランスや普遍的なマナーにとらわれない音楽に対しての探究心であろう。

彼の製作した中でもとりわけBPMの早いこの曲は、いまだにヒップホップのイベントで、レアグルーブ愛好家のDJが流す踊れるジャズとなっている。

難しいことは言わないのでとりあえずはこれで踊るのが先決だろう。




サンプリング元としてヒップホップへの影響

サンプル元まで調べる熱心なヒップホップファンであれば完全周知であろうこの一曲、Sun juan sunset。

NYはブロンクスを拠点として活動していたD.I.T.CのMC兼トラックメイカー”Lord finesse”の「gameplan」や商業化されきってしまった2000年代半ばのヒップホップ業界に彗星の如く現れたリリシスト”Lupe Fiasco”の「Paris,Tokyo」などのサンプリング元にも使われ、今も尚ラッパーに愛される一曲となっている。

ロードフィネスもこの曲では、過剰なまでのセックスアピール。

そして、ルーペもショーや製作に追われ多忙で張り詰めた中、会えない恋人に対して寂しい思いを綴っている。

両者のアルバムの中でも異彩を放つメロウソングとなっているが、彼らがこの曲に対して馳せる思いはとてつもない。

長年CTIで培った現場経験、そして多忙なスターへの道を一気に駆け上ったデオダートがふと見つけた癒し。

原点へと還り、リゾートで浸ったその慈愛に満ちた安堵感は、まるで繭に包まれたような感覚に陥る。

最もクールでドープな二人も、この曲を聴き、官能的に心を疼かせた記憶があったのだろう。




活躍の場を広げたフュージョンというジャンル。CTI破産後の奏者達。

1978年にCTIはアメリカにて破産を申告。その後のでオタダートはCTIを抜け、80年代以降は自アレンジャーを中心として裏手に回るが、kool&the gangやearth&the wind fireなどのファンクバンド、近年ではアイルランドの女性シンガーbijokのプロデュースを行うなど幅広いフィールドで活躍する。

デオダートもそうだが、「prelude」でもセッションしたジャズ界フルート奏者”Hubert Raws”の「Land Of Passion」やクインシージョーンズがプロデュースしたジョージ・ベンソンの「Give Me The Night」などのヒット。

彼らがCTIで培ったセンスとキャリアは、CTIが無くなってからも折り紙付きのものとなった。

フュージョンジャズ界で活躍した奏者たちが、その後のポップス界隈で活躍する事を証明した作品。それは、ジャズミュージシャン、そしてオーディエンスの新たな市民権を得た瞬間だった。

CTIを抜けてのワーナー移籍初のアルバム「Love Island」に収録のこの曲。

同アルバムにはドラムのHeavy masonやGeorge Bensonと70年代のフュージョンシーンを彩った豪華メンバーが参加している。

下記に掲載しているlive版の動画では、演奏途中にLupe Fiasco の「Paris,Tokyo」のフロウをそっくりそのままキーボードでアレンジするなど、ブラジル出身の彼らしい茶目っ気が効いている。

仕事など都会の喧騒に疲れた時、この曲にゆっくりと浸ってみてはいかがだろうか。




Writer / EZ

soul ミュージックが好きなEZです。 好きなアーティストはLUNCH TIME SPEAXとさだまさしです。