信じるか信じないかは、、のような話が好きな方におすすめの意味深MV。De La Soulとスヌープドッグの『Pain』

2018.11.08

"De La Soul(デ・ラ・ソウル)"

de la soul

同じ高校に通っていたポス(MC)、トゥルーゴイ(MC)、メイス(DJ)の3人によって1987年ニューヨーク、ロングアイランドにてDe La Soulを結成。2MC+1DJというオールドスクール・ヒップホップ色を残しつつも、当時では斬新である、ユーモアなリリックとスタンス、卓越されたサウンドメイクが世に受け、シーンの異端児として一躍有名に。枠組みにはまらない彼ら独特の世界観、"De La Soulムーブメント"を今も尚 世に与え続けている。

"常にリスナーの心とは反対へ"

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1989年にTommy Boy Recordsからリリースされたデビューアルバム「3 Feet High and Rising」は、当時ヒップホップシーンでは主流であった"ゴリゴリでマッチョ"という男らしさとは裏腹に、"背伸びせず、普通。草食系"といったオタク要素全快で遊び心溢れるポップなイメージを世に植え付け、一世を風靡することになる。このアルバムは全米ビルボードR&B・HIPHOPアルバム枠で週間1位を記録するなどの数々の称賛を受け、"ヒップホップアルバムの最高傑作"として語り継がれている。2年後に出された2作目のアルバム「De La Soul Is Dead」(1991)では、タイトル通り、定着しかけていた彼らのイメージを敢えて腐食するような作品構成をとり、さらに話題を呼ぶ。その後も、変わりゆくシーンの中でリスナーの予想できない動きをし続けながらも、彼らの色を残していく、という独特なスタイルを取りながら多くのファンを獲得していき、2012年までに計8作のアルバムをリリースしている。しかし、それから4年間はアルバムの製作活動はなかった。色々な噂がファンの間で浮上している中、2016年に待望の9作品目のアルバム「and The Anonymous Nobody」がリリースされる。

"サンプリング問題で製作費、何と1200万円超え"

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「and The Anonymous Nobody」のアルバムにかけられた制作資金は$110,000、日本円にしておよそ1250万円。

ここまで莫大な制作費用が使われたのには2つの理由がある。

1つはサンプリングの問題である。彼らは今まで楽曲製作でのサンプリングの件で幾度も裁判沙汰となっている。今回のアルバムではそういった もめ事を未然に防ぐ為に多方面から様々なジャンルのアーティストを呼び、生演奏をさせ、そこで作られた楽曲を元にサンプリング。そこで再構築した音源を元に、新たな新譜として世に出す、という策をとった。この方法なら権利は全て自分達にあるため、権利の事でなにも言われない、という斬新な物の言わせ方だ。

もう1つは豪華なゲストとのコラボ費用だ。

2 Chainz , Damon Albarn , David Byrne , Estelle ,Little Dragon, Jill Scott, Justin Hawkins, Pete Rock, Roc Marcianoといった面々。そんな莫大な費用をかけて作られた今作は、2017年のベスト・ラップ・アルバム部門でグラミー賞を獲得している。"De La Soulムーブメント"は健在であった。


"スヌープドッグとコラボした話題のシングル『Pain』"


「and The Anonymous Nobody」の3曲目にも収録され、フューチャリングにSnoopDoggを招きリリースされたシングル『Pain』(2016)。リリースと同時に公式サイトで遊べるミニゲーム(高速で飛んでくる『Pain』の歌詞を避けてポイントを稼ぐという簡単なゲーム)と共に世に出され、話題を呼ぶ。

de la soul

サンプリング元はファンク・ミュージックの継承者ジョージ・クリントンが14歳で結成したファンク・バンドParliamentの「Dr. Funkenstein」(1975)。とても気持ちの良いトラックに仕上がっている。


トラック、フックを含め、全体的に90年代の匂いをさせているこの曲、【Pain will make it better】というフレーズが曲中に計30回ほど入っており、【痛みは人を強くする】という解釈ができ、曲を聞くだけなら自己啓発的で前向きな曲に仕上がっているといえるだろう。しかし、シングルがリリースされた約11か月後、『Pain』の驚愕なミュージックビデオが世に現れる、、


"『Pain』の歌詞に隠されたメッセージの意味"

ミュージックビデオ(MV)を見終えた人はこう感じるだろう、”社会に対して何かしらのメッセージが込められている。”調べてみると、いろんな解釈が浮上した。一つの解釈は、現在私たちが身を置く消費社会のマーケティングの流れの"事実"について、私たちに危険信号を送っているということ。その意味合いで先程のフレーズ【Pain will make it better】を考えてみる、、製薬会社に置き換えてみると、、痛みの症状を抑えるはずの薬は、別の症状を誘発させる成分が入っており、それがさらに、、という具合になる。

言ってしまえば、【痛みの症状を抑える薬には、別の症状を起こさせ、それに応じた薬をまた買わせ、また別の痛みが、、、といったビジネス戦略によって、製薬会社はより儲けることができる】、MV中で皆が口にする【Pain will make it better】とつじつまが合う。もう一つの解釈としては、『Pain』のリリースと同年の2016年1月にアメリカ、デトロイトで起きたフリント川事件。こちらもかなり黒い話となっているので、気になる方はこちらのサイトを、、http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Predictable_lead_poisoning.html

様々な解釈ができる『Pain』のMVだが、Youtubeでのコメントの反響は当時すごかったという。それもそのはず、、事実はどうあれ、この『Pain』という楽曲自体はとてもクオリティが高く、MVも楽観的に見ればユニークな映像として楽しむことが出来る。信じるか信じないかはあなた次第といった作品である。

Writer / g.g

we are one. peace.