ヒップホップのサブジャンルG-Funkが出来る上で欠かす事のできないラッパーって?

2018.11.16

G-Funkというジャンルを確率したラッパーWarrenG

G-Funkというヒップホップにおけるサブジャンルが人気を得ることに大きく貢献した人物の一人が今回ご紹介するWarrenG(ワレンジー)。1994年にリリースされた『Regulate...G Funk Era』はWarrenGの最初のアルバムでありながら最も人気のある作品の一つです。このアルバムの中の1曲、「This D.J.」は当時の音楽番組でMVが流れまくっていたという人気曲。ファッションや風貌というよりはむしろ編集面で時代感満載のMVから「This D.J.」をまずはチェックしていただきたい。


この場面の切り替わりごとに、ひたすらヌラリと現れてなんとも言えない切なげな表情でラップを口ずさんでいる男がWarrenGです。見ているとクセになってくるこのMVが当時のMTVなんかで毎日のように流れていたのかと思うと個人的には少し笑えてきたりします。ただ決して馬鹿にしているわけではなく、その曲はまさに1級品。メローで哀愁感の漂うこの聴き心地の良いサウンドがWarrenGの楽曲の特徴的な部分で、新しいスタイルのHiphopとしてその人気を確率しました。このWarrenGのヒットがG-Funkのブームを加速させていくことになるのですが、、

ヒップホップのサブジャンルG-Funkとは?

G-Funkとは主にカリフォルニアなど西海岸を中心としたヒップホップのムーブメントで、それまでのサンプリングベースのビートミュージックに加えて、生楽器の音や質感を加えたものを指します。更に当時のポップスでも多様されていたシンセサイザーを使用し、ゆったりとした曲調を、サンプリングしたビートの重厚感とミックスさせ、その独自のグルーヴ感が人々の心を掴みました。いわゆる「サビ」にあたるような箇所ではコーラスが使われることも多く、カリフォルニアの陽気な気候にピッタリな曲調は今までヒップホップに馴染みの少なかったファン層も新たに獲得していきました。

WarrenGはG-Funkのアーティストの中でも特に脱力感の効いた、リラックスした雰囲気によく合う曲を発表していたことで知られる人物です。この記事で紹介している「This D.J.」もそのリラックスしたサウンドの代表作と言えるでしょう。西海岸発、ということでGangsta Rapとも関わりが深いG-Funkですが、WarrenGとも関わりが深く、G-Funkを語る上での欠かせない存在が西海岸のドン、ドクター・ドレです。

WarrenGの兄、ドクター・ドレ

Dr.Dre

いわゆるブラザー的なノリとしての兄弟ではなく、WarrenGとドクター・ドレは実際の血縁関係のある異父兄弟です。後に西海岸の顔になったスヌープ・ドックもWarrenGが従兄弟のNateDogと一緒に二人をドクター・ドレに紹介したところからその後の飛躍的なキャリアに繋がっています。G-Funkという言葉が浸透していき、そのブームの中心にWarrenGがいたことは間違いありませんが、そのヒップホップにおける転換期を生み出した存在はやはり誰もが認める男ドクター・ドレなのです。

先述した、サンプリングをベースとした元々の骨太のヒップホップにシンセサイザーやピアノの生音を加えて、スローなテンポ感ながらしっかりとした聞き心地のG-Funkサウンドを一番最初に世に送り出したのが、1992年にリリースされたドクター・ドレの『The Chronic』。ヒップホップシーンで度々話題として取り上げら続ける名作です。


このDr.Dreの存在を義兄として持つWarrenGが時代に即してよりキャッチでメローなサウンドを作りだしたことは最早必然だったのかもしれません。

Writer / Taneda

平成初頭生まれ会社員。 趣味のブレイクダンスをきっかけにブラックミュージックに没頭。 なんやかんやあってjazzに現在傾倒中。