The Rootsのやり方 〜生音とヒップホップ〜

2018.11.30

バンド演奏+ラップミュージックというスタイルで真っ先に名前が上がる存在がThe Roots(ザ・ルーツ)。生音ならではの聴き心地の良さは、単にJazz音源をサンプリングしたヒップホップとはまた別次元の魅力がある。ブラックミュージックシーンで圧倒的なリスペクトを受けるQuestlove(クエストラブ)とラッパーBlack Thought(ブラック・ソート)がバンドの顔となり、グループを伝説的な存在に辿り着かせた。 サンプリング、スクラッチあってこそのヒップホップ、という意見もあるが、彼らの作り出した音楽の魅力はジャンルに囚われることが些細な問題なのだと再認識させてくれる。

独自性に溢れるヒップホップのスタイル


彼らを代表する1曲の一つ「The Next Movement」。 DJ Jazzy Jeffをフィーチャーし、バンド演奏を基軸としたスタイルにスクラッチ音も取り入れている。生音基軸だからこそのソウルフルなグルーヴはヒップホップリスナー意外からも愛されるサウンドとして心地良い独自の世界観を作り上げた。2000年前後のネオ・ソウルブームの一角をThe Rootsは担っており、「The Next Movement」が収録されたアルバム『Things Fall Apart』には豪華な顔ぶれが並ぶ。 D'Angelo、Erykah Badu、J DillaCommonなど、当時のブラックミュージックシーンの精鋭とも呼べるメンツが参加しており、彼らはそれぞれの作品にお互いを客演として迎え合い、志の高い音楽活動を行なっていた。D'Angeloの『Voodoo』、Erykah Baduの『Mama's Gun』、Commonの『Like Water For Chocolate』などは彼等が親密に過ごした期間に集中して発表された作品群であり、どれか一つでも気に入れば間違いなく全ての作品を楽しめる。

ドラマー:Questloveのグルーヴ感とインタビュー

The Rootsの音楽的な大きな柱になっている存在がアフロヘアがトレードマークのQuestlove。 

Questlove


手数の多さやテクニカルなドラミングをぶちかますようなストロングスタイルのドラマーではなく、彼の魅力はその体から滲みでるグルーヴ感。彼が『Voodoo』のレコーディングのドラムについて語ったインタビュー動画が興味深い内容となっているのでご紹介したい。

Red Bull Music Academyでの一幕。実際にビートを叩きながらD’AngeloやErykah Baduとスタジオで過ごした日々のことを語っている。優れた音楽性を持った面々が彼のドラミングに多大な影響を与えたこと、D'Angeloの自身満々のリードがあったことでジャストから少しずらした叩き方を思い切って行うことが出来たのだとか。以前J Dillaについて記載した記事にてQestloveがもたったビートを聴き心地良く響かせことに対してJ Dillaの影響が大きかったということを紹介したが、この独特のビート感は全てがJ Dillaによってもたらされたのではなく、D'AngeloはJ Dillaとは別に自身でこのもたったビートの良さに気づき、たまたまフィーリングの合う二人の天才が一同に介したという事実がインタビュー中で明かされている。 Questloveの音楽的探求心の高さはこのネオ・ソウル界隈とのセッションの日々を境に加速していくことになった。

生音ライブならではの抑揚と楽しさ

最後にThe Rootsの比較的最近の映像で、彼等の人気の由縁をとことん楽しめる動画をご紹介。

ラジオ放送局のオフィス内でセッションを行う「Tiny Desk Concert」にこれまた大物ソウルシンガーBilal(ビラル)とともに登場した動画。狭いけれどもオシャレ感満載のオフィスにめちゃくちゃ愉快に登場する彼等。 アコースティックなサウンドの魅力がぎっしり詰まった素晴らしい12分になっており、これを見るだけでもThe Rootsの魅力はたっぷりと伝わるだろう。

Writer / Taneda

平成初頭生まれ会社員。 趣味のブレイクダンスをきっかけにブラックミュージックに没頭。 なんやかんやあってjazzに現在傾倒中。