多くのヒップホップアーティストに愛され、サンプリングされたジャズの巨匠”Bob James”

2018.12.04

若くしてクインシー・ジョーンズから才能を見出されたBob James(ボブ・ジェームス)はフュージョン界では大御所中の大御所。元々はフリージャズ色の強いレーベル”ESP”からトリオ名義で作品をリリースするなど、一線級のジャズプレイヤーであった彼のソロ名義のリリース作はクラシックの大胆なアレンジを取り込んだまさにクロスオーバー今回は彼をサンプリングしたヒップホップアーティストも関連してご紹介。

ジャズ音楽:フュージョン界の名作『One』

 Bob Jamesの初ソロ作のアルバム『One』インターカレッジのジャズ・フェスティバルでクインシー・ジョーンズに見いだされた彼のセルフプロデュース作品は、1974年リリース。白人ピアニストながら、多分にブラックなフィーリングが引用されたピアノのタッチはヒップホップリスナーの耳にも聞き心地の良いサウンドであること間違いなし。


 アルバム全体通じて緊張と緩和という本作は1曲目から2曲目の移り変わりっぷりで顕著。オリジナル作品である「Valley of the Shade」で1曲目からなんとも言えない怪しげで張り詰めたイントロから始まりながら、2曲目は誰しもが耳にタコができるほど色んなシーンで聞いてきたであろう、パッヘルベルの「Canon」のアレンジ。この2曲目、「In the Garden」が流れ出す時の絶妙な安心感は是非味わってもらいたい。そんな名作『One』のなかでも個人的に特に注目して頂きたいのが6曲目の「Nautilus」だ。このトラックは数々のヒップホップの名作に引用されまくっている超人気作なのだ。その「Nautilus」がサンプリングとして使用されている曲をいくつかご紹介。

ヒップホップのリリックと言えばストーリーテラーSlick Rickによる1曲

ヒップホップのリリックにおいて、その詩中のストーリーが優れた作品はたくさんあるが、その中でよく名前が上がる曲の一つがSlick Rickの名曲「Children'Story」。80年代後半のヒップホップシーンにおける代表作的な作品でもあり、ヒップホップの歴史を辿る上でも重要な1曲。


ヒップホップのポップスターRUN-DMC


ヒップホップを大きくメインストリームに押し上げた伝説的アーティスト、RUN-DMCも「Nautilus」をサンプリングしている。彼らの代表曲の一つ、「Beats To The Rhyme」のバックで怪しげに流れるサウンドが実はBob Jamesの引用だ。

ラッパーNasも若手の時に参加したMain Source


かなり細かくビートを区切ってはいるが、Nasも参加しているMain Sourceもこの1曲をサンプリングとして使用。元々「Nautilus」にヒップホップ的なサウンドの当たりがあり、そのビート感がヒップホップのアーティストの琴線に触れるのだろう。 他にもEric B. & Rakim名義でリリースの「Follow the Leader」、Ghostface Killahの「Daytona 500」と数多くのヒップホップアーティストを虜にしてきた名曲「Nautilus」。 クラシックジャズクロスオーバーからヒップホップの名曲に繋がっていく。まさにサンプリングの元ネタを追いかける楽しさを十分に教えてくれる”Nautlius”。是非この曲だけでなくアルバム”One”を一通り聴いて頂き、その緊張と緩和の絶妙な演出を楽しんで頂きたい。

Writer / Taneda

平成初頭生まれ会社員。 趣味のブレイクダンスをきっかけにブラックミュージックに没頭。 なんやかんやあってjazzに現在傾倒中。