ローリン・ヒル『The Miseducation of Lauryn Hill』"色褪せないソウル"
2018.12.05

90年代のR&B女性アーティストの代表的な存在Lauryn Hill(ローリン・ヒル)。
映画「天使のラヴソング2」に出演し、素晴らしい歌声を響かせたシーンについてもよく語られる。1998年のソロデビューアルバム、『The Miseducation of Lauryn Hill』は世界中で大ヒットし、ソウルミュージックシーンの名盤として、リリース20周年が立ち再び注目を集めている。
グラミー賞を5部門制覇したソウルの名作アルバム
リリースした1998年の翌年のグラミー賞を5部門制覇した文句なしの名作『The Miseducation of Lauryn Hill』。世界で1200万枚を超えるセールスを達成している。2000年前後のネオソウルブームの中心にあった作品の一つだが、その後に出産が続いたこともありこのアルバムの以後20周年の間作品が発表されることはなかった。プライベートが落ち着かなかったことは勿論、ソロ名義1発目からこれだけの大ヒットを飛ばしてしまったことはある種のプレッシャーを彼女に与えてしまったのかもしれない。
ローリン・ヒルの名曲とその力強いラップに影響を受けたラッパー達
『The Miseducation of Lauryn Hill』の中からシングルカットされたローリン・ヒル、ネオソウルミュージックのクラシックと呼べる1曲が「Ex-Factor」。
彼女の特徴は何と言ってもその歌声、まさにソウルフルという表現がよく似合う。美しく、そして力強く。ラップもまた素晴らしい。現代活躍しているアーティストにもローリン・ヒルから影響を受けた人物は多く、現在のチャートに名前をずらっと連ねるアーティスト、Drake(ドレイク)もその一人だ。2018年も絶好調だったDrakeが発表した「Nice For What」は「Ex-Factor」を大胆にサンプリングした1曲。
この「Nice For What」が発表された後、ローリン・ヒルは自身の公演で「Ex-Factor」の後にメドレーで「Nice For What」を披露し、更にオリジナルのバースを付け加えたことで両者のファンを喜ばせた。また、今グングン勢い付いている女性ラッパー、Cardi Bも2018年に発表したアルバム『Invasion of Privacy』の収録曲で「Ex-Factor」をサンプリングしている。
発表時期がDrakeと近かったこともあり、狙ってやっているのかとちょっとした騒ぎになったが、そこは元々リアリティ番組から一躍人気者になったCardi B。それも一つの勢いとして上手く吸収したように取れる。
色褪せないクラシックなソウル音楽とローリン・ヒルのライムフロー
ローリン・ヒルのライムフローが存分に楽しめるのが「Doo Wop」。当時のMTVで毎日のように流れていた人気曲。トラックもクラシックなビートを刻み、ラップとコーラスの入れ変わる瞬間が自然で格好良く、今聴いていても色褪せることのない1曲。
ローリン・ヒルの歌声はとにかく力強く、女性が持っている心のパワーのようなものが楽曲から漏れ出すように感じ取れる。彼女の曲を聴いて育った世代である現代のアーティストにもその力強い表現のシンプルな魅力というのはしっかりと受け継がれてる。

Writer / Taneda
平成初頭生まれ会社員。 趣味のブレイクダンスをきっかけにブラックミュージックに没頭。 なんやかんやあってjazzに現在傾倒中。