”大統領を逮捕せよ” トランプへの告発状 Ice Cube「Arrest Police」
2018.12.07

西海岸の伝説的 ギャングスタラッパー、"Ice Cube"(アイス・キューブ)が2018年の終わりに遂に動いた。
実に10年ぶりのリリースとなる本日公開のアルバム『Everythang's Corrupt』(2018)。”ここ数年は、Straight Outta Comptonの制作や、バスケットボール業界で忙しく、楽曲制作に集中できる時間がなかった。次にリリースするアルバムは自分が納得いく質の高い物を目指したいと思っており、ようやくタイミングが来たって感じだね”と彼は語る。そこで今回、その満を持してリリースしたアルバム『Everythang's Corrupt』の第一曲目を飾り、今年11月に先行リリースされたシングル「Arrest President」を紹介したい。
「大統領を逮捕せよ」と強烈なラップをするリリック
”大統領を逮捕せよ” と、かなりパンチの効いたタイトル。気になる内容はというと、、さすが西海岸のボス。裏切る事なく現在の政治汚職、狂った社会システムに対して大批判。"Arrest the president (Woo), arrest the president (Woo)Arrest the president, you got the evidence (Nigga)"翻訳すると、”大統領を逮捕しろ!俺たちは証拠を掴んでいる!"このフレーズが数回繰り返される強烈なフック。リリック全体から考えても、包み隠さず、アメリカ合衆国大統領のドナルド・トランプを批判しているのが分かる。現在、次々に浮き彫りとなってきた汚職疑惑などで、立場が危ういトランプ大統領。ハード・コア・ヒップホップ、ギャングスタ・ラップの盛り上がりを知っている方からしたら、"このくらい過激なリリックはヒップホップにはつきものだろう、、Cubeらしくて良いじゃない"と軽く感じるかもしれない、、しかし、今回の「Arrest President」は、今後世界を大きく動かす、歴史的な一曲となりうるかもしれないのだ。。
汚職に塗れたアメリカ政府を告訴するラッパー?ヒップホップの影響力はここまで来たのか?
実はCube本人、現在2016年の米国選挙および関連事項におけるロシアの干渉に関する特別顧問調査の責任者であるロバート・ミューラー氏と直接会談をしているらしく、この特別顧問ロバート・ミューラーという人物は、32人と3つの企業から証拠を挙げ、35個の証拠を元にドナルド・トランプ大統領の有罪判決を告発した張本人である。しかしながら、大統領という立場のトランプ氏は、当然容易に起訴することはできない。大統領が起訴されるかどうかについての問題は、アメリカの憲法で裁く事は難しく、トランプ氏が起訴されることは、やはり困難だと専門家は口を揃える。
そこでCubeは、ロバート・ミュラー氏に急いで彼自身が調査した結果を発表し、その結果、議会はドナルド・トランプ大統領を起訴する可能性が高くなってきたと述べ始めたのだ。そして、もし裁判で有罪判決を受けた場合、これは逮捕につながる可能性があると示唆されている。。さすがCube、、スケールがでかすぎる男である、、。しかし、インタビューで当の本人Cubeは「Arrest President」についてこう語っている。”政治システムの汚職を直接言っているのではなく、これは単なる意思表明にすぎない。政治の汚職なんかよりもはるかに大きな問題について俺は触れているんだ” 続けて彼は、"これは、多くの人々、つまり私たちの身近な問題である。現在多くの人々は、自分自身で体を腐敗させ、自分自身で人間関係を壊し、自分自身で心さへも汚染してしまっている。そして一番問題なのは、本人たちがその自覚がないことだ。"と「Arrest President」には私たち自身が真実に気付き、立ち上がる為のメッセージが込められているとCubeは語る。
余談:ホワイトハウスの前で大麻を吸うスヌープ・ドック
ここで、Cubeと同様にギャングスタ・ラップを築き上げた1人でもある、Snoop Dogが昨年、カナダのヒップホップ・インストールメンタル・バンド BADBADNOTGOODとコラボしたこちらを見て頂きたい。
Cube同様、全力でドナルド・トランプ大統領を批判しているのが見受けられる。Snoop Dogといえば、つい先日ホワイト・ハウスの前で大麻を吸い”F**k President”と捨て台詞を吐いた事で話題となった。彼もまた、現在の社会システムになにかしらの爪痕を残す一人になりうるだろう、、
ギャングスタ・ラップを築きあげたレジェンドたちの現在の動きは一体何を示唆しているのであろうか、そして彼らのこれまでの動きは、今後起こりうる"ヒップホップ革命"に向けての準備であったのであろうか、、真相はともあれ、ヒップホップというカルチャーが僅か40年余りにして、世界的影響を及ぼしている今だからこそ、近い将来、歴史に名を残す大きな動きがあるのは間違いないと言えるだろう。。

Writer / g.g
we are one. peace.