R+R=NOW『Change of Tone 』新時代を率いるジャズアーティスト ロバート・グラスパー率いるリアルなバンドとは?

2018.12.08

2013年のグラミー賞にて最優秀R&Bアルバムに輝いた『Black Radio』はもちろん、ジャズ、フュージョンR&Bヒップホップとジャンルの垣根を飛び越えた快作を生み出してきたRobert Glasper(ロバート・グラスパー)今回は自身のバンド『R+R=NOW』のアルバム『Collagically Speaking』より「Change of Tone」をご紹介。

ジャズ界の巨匠が求めるリアルなセッションの意味

『Change of Tone』に限らず彼らが”Collagically Speaking"に収録したサウンドの全てはなんと一発録りだという。加えてリハーサルすらも行っていない。ロバート・グラスパーはとにかくリアルなセッションを求めてこの製作に当たっていることがわかる。 メンバーを集める為に声掛けをしたのはロバート・グラスパー自身だが、リーダーを務めているわけではない。彼らが語るのはあくまで仲間としての平等な関係性。それぞれが個々に優れた存在でありながら共通の感性を持っている結束感がアルバム全体を通して伝わってくるアーティスティックな作品に仕上がっている。

  
ジャスティン・タイソンのドラムとロバート・グラスパーのキーボードで始まる「Change of Tone」は聞き馴染みの良いビートに交わるテラス・マーティンのヴォコーダーが響き、終盤にはその表題の通りの展開で気持ちの良い爽やかな後味の残る一曲になっている。 なんと言ってもこのバンドのメンツは今の新しいジャズのムーブメントを引っ張るリーダーで構成されている。ロバート・グラスパーを中心に集まったジャズだけでなくPopやR&Bの名歌手から引っ張りだこの彼らについても是非ご紹介したい。

ロバート・グラスパー率いるバンドメンバーの構成と役割

R+Rが現すのはReflect+Respond。アーティストとして時代と向き合うことで、その時代との関わりを深め、自分たちの存在をより高めていきたいという思いが現れている。 このバンドのメンバーは全員で6人。『Black Radio』ジャズ新時代を担う革命児ロバート・グラスパーケンドリック・ラマーの超大作『To Pimp a Butterfly』をプロデュースしたテラス・マーティン ジャズ、フュージョンの女性アーティスト最高の才能として知られるエスペランサ・スポルティングのバンドでプレイし、今注目のジャズドラマーであるジャスティン・タイソングラスパーが誰よりも信頼し、共にRobert Glasper Experimentとしても長く活動し続けているデリック・ホッジ 『The Centennial Trilogy』で注目を集めたクリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアー Flying Lotusが主宰するブレインフィーダーの秘蔵っ子、キーボーディストのテイラー・マクファーリン。彼らはそれぞれが各分野で注目を集めるスターであり、優れたリーダーシップを持つがR+R=NOWの中で彼らの存在感の主張は決してぶつかり合わない。それぞれが真にリスペクトし合っているからこそ成り立つ抜群のサウンド。これからの動きがまだまだ楽しみなグループだ。

Writer / Taneda

平成初頭生まれ会社員。 趣味のブレイクダンスをきっかけにブラックミュージックに没頭。 なんやかんやあってjazzに現在傾倒中。