”歌うようで、楽しげで”シカゴのニューフェイス Sabaが魅せるラップスタイルとは?
2018.12.10

チャンス・ザ・ラッパーも認めるフレッシュな歌声を放つラッパー
シカゴをレペゼンするラッパーSaba(サバ)は若干24歳。同じくシカゴを中心として活動するChance the Rapperの強烈なフックアップを受けて、一躍人気ラッパーとしてヒップホップシーンに躍り出た。
中でも2016年リリースのグラミー賞最優秀Hip Hopアルバムである『Coloring Book』の1曲、「Angel」での客演はSabaの存在を大きく世に知らしめることになった。やりすぎないバウンス感と時に歌うようなラップが抜群に気持ち良く、何よりSaba本人が楽しげにラップしている姿が可愛げがあって和やかにさせてくれる。
チルムード抜群のフロウで魅せるラップスタイル
ソウルミュージックのアーティストである父親とHip Hopのプロデューサーを叔父に持つSABAは産まれながらにしてブラックミュージックとの深い関わりを持っていた。7歳の頃からピアノを習い、艶やかな音楽にも触れてきた背景が彼の作品には色濃く写る。特に父親からの影響は彼の作品からはたぶんに感じられる。2000年代前後のネオソウル的な風靡な心地よさがその大きな魅力になっている。最近発表されたシングル「Papaya」にもそのバックボーンは色濃く写っているように感じられる。
呟くような、それでいて歌っているような独特なフロウが少しもたついたビートと絡んで絶妙なChill感を演出している。この「Papaya」においてもやっぱりSabaはどこか無邪気で、ラップの途中で笑いを堪えきれないでいるような部分が垣間見える。「You know I don't smoke, but you fired the joint.I just want to chill (Chill), with you.I ain't got shit to do, I was hopin’ you'd join」個人的に染みるリリックが開幕のコーラスの後半部分のこの1節。自分は吸わないけど、当たり前のように相手は吸い出して、それでもその相手とリラックスした時間は好きで、楽しみたい。別にジョイントの話でなくともこういう瞬間って日常に潜んでいるような気がして、短いセンテンスだが良いリリックだなと感じられる。まったりした時間で、それぞれがそれぞれの好きなことをしていて、意味なんか特にないけれどもただ人と会って過ごして、リラックスする。そんな時にふと気を遣ってしまう瞬間はあるんだけれども、相手方がこんな風にそれでも一緒にチルしていたいと思ってくれいたら実は結構嬉しかったり。そんな絶妙なムードも歌い上げ、心地良さを作り出してくれるSaba。トラップやスキルフルなラップに少し胃もたれしてきたときには是非オススメしたい。

Writer / g.g
we are one. peace.