生音ヒップホップのレジェンドThe Rootsのラッパーが送るソロ作品。あのエミネムをも凌ぐフリースタイル力とは如何に、、
2018.12.15

生音ヒップホップのレジェンドThe RootsのMCとして
生音ヒップホップのレジェンドとして独自の地位を獲得しているThe Roots(ザ・ルーツ)のMCを務めるのがBlack Thought(ブラック・ソート)。2018年現在47歳にもなる大ベテラン、Black Thoughtがここに来て発表したソロ名義の作品が『Streams of Thought Vol.1』(発表時は46歳)。The Rootsとしての最新作として『End Game』なる作品の発表がまだかまだかと噂になる中でのソロ作品の発表だったが、2018年を代表するヒップホッププロジェクトの一つになった。
アーティスト:Black Thoughtとして初のソロ作品『Streams of Thought』
上で紹介している「Thank You」は初ソロ作『Streams of Thought Vol.1』からの1曲。Jay-Zなど数々のトップアーティストのプロデュースを務める9th Wonder(ナインス・ワンダー)が率いるプロデューサー集団The Soul Council(ザ・ソウルカウンシル)とBlack Thoughtの共同製作に当たる本作品。「Thank You」の1曲においては9th Wonderではなく、The Soul CouncilのKhrysisがプロデュースしているのだが、そのサンプリングも特徴的だ。その元ネタがD'Angeloが2014年に14年越しに発表した『Black Messiah』から「The Charade」。
ソウルやジャズに加えアフリカのニュアンスを含んだD'Angeloの音楽をサンプリング
D'Angelo-『Voodoo』での独自のスタイルと言える、ソウルミュージックにジャズ的で、アフリカへのルーツバック的なニュアンスを含んだ、深みのあり過ぎるスタイルに更に、ロックの味付けを加えて久々に発表されたのが『Black Messiah』。一言では語りきれないD'Angeloの作品をサンプリングネタとして使っても、音負けしないBlack Thoughtのリリックセンスはさすがの一言。ベテランだからこその巧みな技術が光る。D'AngeloとThe Rootsは2000前後のブラックミュージックシーンをトップとして共に駆け抜けた旧知の仲でもあるし、Black Thoughtにとってこの D'Angelo由来の複雑なサウンドを乗りこなすことは何でもないことなのかも知れない。
エミネムをも凌ぐ!?話題を呼んだBlack Thoughtのフリースタイルラップ
Black Thoughtのソロ作品を大きく自身で後押しすることになったのがこの前年、2017年にラジオ番組「Hot 97」で披露した10分間に及ぶ圧巻のフリースタイルだった。
しかしこうしていざピックアップされる形でフリースタイルをしてみれば、これだけのことやってのけてしまうのだから、多くヒップホップファンにBlack Thoughtの実力を再認識させることになった。最近、Eminemが自身で11分間のフリースタイルをアップロードしたことが話題になったが、このEminemの動画にもBlack Thoughtとどっちが素晴らしいかを比較するコメントが散見され、このBlack Thoughtのフリースタイルのインパクトがいかに強かったのかが伺える。
重厚なビートとラップが詰まったアルバム『Streams of Thought』は三部作
『Streams of Thought』は最初の発表の時点でVol.1がタイトルに付けられていて、全3部作になることが発表されている。直近の2018年11月26日に『Streams of Thought Vol.2』がリリース。Vol.1から約半年空けてのハイペースの発表となった。
重厚なビートにリリカルなBlack Thoughtのラップがバッチリ決まった曲がズラリと並ぶ。47歳にして、このハイペースな活動にThe Rootsの新展開も期待できる。Black ThoughtとThe Rootsのこれからに要注目だ。

Writer / Taneda
平成初頭生まれ会社員。 趣味のブレイクダンスをきっかけにブラックミュージックに没頭。 なんやかんやあってjazzに現在傾倒中。