Nasが語るヒップホップとは?進化と共に繰り返される論争

2018.12.19

Nas『Hip Hop Is Dead』に込められた意味

2006年の12月19日はNasのアルバム『Hip Hop Is Dead』がリリースされた日です。Nasに関しての詳細はこちらの記事を。
Nasの代表曲『I Can』から読み解く次世代の子供たちに向けたメッセージ

ヒップホップは死んでいるという痛烈なアルバム名ですが、これは当時のヒップホップシーンに対するNasの見解が込められています。このアルバムが出されたのが2006年、活躍していたラッパーは50 Cent、Jay-ZEminemと数える事が出来るくらいで、90年代と比べると2000年代はシーン全体の低迷が見られました。この危機を察知したNasは当時を生きるラッパーたちを鼓舞する目的で、このアルバムを出します。

特にヒップホップのサブジャンル トラップを歌うラッパーに対してのディス

ラッパーといっても、アメリカには地域によって様々なスタイルがありますが、Nasは特に南部のスタイル、今でいうトラップミュージックに対して言及をしています。本日取り上げているシングル「Hip Hop Is Dead」の歌詞で"Everybody sound the same, commercialize the game.Reminiscing when it wasn't all business.It forgot where it started."とラップをしています。Nasがデビューした当時はドラッグの蔓延や黒人差別が深刻で、その事実を世間に伝えるためにラップという手段を使用していました。お金を生むための商業的なヒップホップでは無く、ヒップホップというモノが始まった時の思いを呼び起こしたかったのです。南部のラッパーと激しいビーフは行われる事はありませんでしたし、当時の南部シーンを作っていたYoung Jeezyとも”ヒップホップは変わっていっている”という意見で落ち着いています。今でも”ヒップホップとは何か?”という論争はしばしば繰り広げられますが、正解は無く、それぞれが思うヒップホップがヒップホップなんだと思います。

あなたにとって、ヒップホップとは、、?


Writer / hook

I love hip-hop and surrouded musics