Lute ”たった一本の電話で人生を変えたお父さんラッパー ”

2019.01.07

アメリカ合衆国、ノースカロライナ州南西部に位置する都市Charlotte(シャーロット)。1800年初期のアイルランド国王シャーロット三世の王妃の名にちなみ、古くから"クイーン・シティ"の愛称を持ち、人々に愛されている町である。
現代ではビルや大手銀行等が立ち並び、魅力的な都市に一見感じるが、やはり未だ表には出ることのない格差もしっかりと残っているという。
今回は、そんなクイーン・シティをレペゼンするアフリカン・アメリカンのお父さんラッパー”Lute”を紹介したい。


”一本の電話”

現在解散となってしまったCharlotteを代表するHipHop集団”Forever FC ”の初期メンバーであった彼は、2012年に自身初となるMixtape『West1996』をリリース。あのPete Rock、Rick Ross等、多くのプロデューサーやラッパーから称賛を受け、Pete自身がTwitterで彼のMixtapeをシェアしたことにより彼の名は世に広まりだす。『West1996 』で成功を目前にしていた彼だが、リリース直後に娘を授かる。天秤にかけられた彼は、家族を支えていくため、ラップを二の次にする覚悟を決めた。

娘の誕生と同時にラップを辞める準備をし始めていたね。家族を食べさせていかなくちゃいけないから。まぁ黒人ならよくあることだよ。特にここクイーン・シティではね、、、。と語る一児の父。


そして2014年、ラッパーとして最後のプロジェクトにするつもりで地道に準備を重ねてきたMixtape「West1996 pt.2」。

フリーダウンロードとしてリリースしようとしていた丁度数時間前の事であった。彼に一本の電話が入る。電話を出てみると、相手は同郷の先輩にもあたる ”J.Cole”である。彼は電話でこう告げた”俺はお前を助けたい。お前の次のプロジェクトを俺に任せてほしい”そして翌年の2015年、LuteはJ.coleのレーベルDreamVilleと契約を交わし、多くの時間を費やし、完成された自身初のスタジオアルバム『1996 pt.2』(2017)が世にリリースされることとなった。彼は再びラッパーとして人生を歩む事ととなる。

アルバム「1996 pt.2」について彼はこう語っている、

”このアルバムはDreamVilleと契約するまでの自分が経験した数々の物語の蓄積なんだ。アルバムリリースまでの5年間に経験した障害、課題、そして変化をありのまま伝える事が出来る人生の窓口となったね。また、自分が誰であるか。という事を他人や環境に左右されることなく、常に昨日の自分と競争する形で、自分自身に集中させてくれる良い機会だった。なにより、僕にチャンスを与えてくれた周りの人たちへの感謝を常に思い出させてくれる大事なモノなんだ。”

彼のラップへの愛情、そして人生を変えるきっかけとなったJ.Coleからの電話など、当時の様子が見受けられるこちらのミニドキュメントはLuteという人物を知りたい方にオススメだ。


”Still Slummin”


彼の代表曲と言えば、DreamVilleがレーベルの総戦力を使って挑んだ超大作『Revenge of the Dreamers Ⅱ』(2015年)で収録された一曲、「Still Slummin」と言えよう。ラッパーとして生きる道を与えられた彼は、自身のラップは単に”実生活における奮闘の反映”と捉えている。”これまでの自分の苦労や努力を、ありのままに伝えることによって、ファンの皆が僕の言葉から何か得るきっかけになったり、励みになってくれると信じて、いつもペンを走らせているね。”と彼は語る。また、この「Still Slummin」のプロデューサーはあの伝説的ビートメイカーJ Dillaであるというのが驚きだ。クイーン・シティのリアルな様子を描写した「Queen City Slummin」も同様にJ Dillaがプロデュース。2人の仲の詳細は分からないが、両曲共に2人の持ち味が見事にマッチした黒い作品に仕上がっているのは間違いない。


Andre3000、 Anthony Hamilton、Anderson.Paak、Joey Dosik等、今後多くのアーティストと共演していきたいと語る彼。2019年、J.Coleの元で大きく動き出す事になるアーティストの1人と言えよう。


Writer / g.g

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