自身を”ヒッピーに生きる偽善者”と語るニュージーランド代表のラッパーMELODOWNZ。

2019.01.21

太平洋の最も北にあるハワイ、最も南にあるニュージーランド、最も東にあるイースター島を結ぶ三角形の広大な地域に無数に散らばる島々の総称ポリネシア。そんなポリネシアに住む人々を総称してポリネシア人と呼び、その血を引き、現在ニュージーランドを拠点に世界に愛と平和を訴えるスピリチャアルラッパー”MELODOWNZ(メロダウンズ)”。


これまでに YG、Buddy、RL Grime、Slick Rick、等数々のアーティストとコラボし、近年ではヨーロッパのNasことCoopsや、現在ベルリンを拠点に活動するR&BアーティストNoah Sleeなどとのフューチャリング、そして昨年末にはOddiseeのニュージーランド公演で共演を果たすなど、今あらゆる方面から注目を集めているアーティストである。哲学的でスピリチュアルなメッセージ性のあるリリックに加え、滑らかで波のようなうねりを効かせたフローは、新鮮なグルーヴを聴くものに届ける。


”スパイダータウン”


彼のファーストアルバム『Avontales』のジャケットにも描写されているスパイダー。通称スパイダータウンと呼ばれている彼の地元West Aucklandは、今でこそ犯罪率は減少しているが、店に立ち寄ると未だに90年代の雰囲気を体験できると言う。アルバム『Avontales』には彼がこれまでに経験してきたリアルな地元の生活を伝えた曲が複数収録されており、そこには辛い過去や目を伏せたくなるような出来事が少なからず街に広がっていたと言う。同アルバムの4曲目に収録されている「Pandemonium」は、直訳すると〔大混乱〕、〔無法地帯〕、〔地獄〕と訳され、彼の友人であった友達が路上生活にも関わらず警察に連行されていく姿を、泣き泣き見過ごすしかなかった彼の屈辱さが描かれている。


また、彼の名が広まりだしたのは地元のAngelo Kingとのユニット、Third 3yeでの活動。徹底的にスピリチャルなラップにフォーカスを向けたこのユニットはニュージーランドで知らない人はいないくらいの知名度を誇っていた。そんな自身達で作り上げたレッテルを剥がす意味でもそれぞれソロ活動に精を出し、様々な色を魅せる独特なアーティストへと仕上がりをみせている。


そんな彼のリリックでおもしろいフレーズがある。”hippy-living hypocrite(ヒッピーに生きる偽善者)”彼はこの言葉について、”ある日僕は愛と平和について語るが、次の日には「この世界などクソくらえ」と言っているかもしれない。所詮僕は人間であり、完璧な人間などいないんだ。”と、人間皆同じであり、どう物事を捉えていくかが大事と述べている。ここで、彼のギャップが見受けられる同アルバムに収録されているこちらの2曲を是非聴いて頂きたい。どちらも彼の地元で収録されているMVだが、彼が言う、「捉え方」次第で、ありふれた日常であるか、ギャングスタのサグライフであるか、見方が変わってくる。


”Oddiseeからのアドバイス”

昨年11月末に東京、代官山UNITにて来日初公演を行ったワシントンD.Cを代表するラッパーOddisee。その翌月、4日間に渡るニュージーランドツアーでMELODOWNZの地元Aucklandに訪れ、2人は共演を果たしている。先輩ラッパーでもあるOddiseeに対し、アーティスト活動やプライベートなど、様々な質問をMELODOWNZは尋ね、2人は密な時間を過ごしたそうだ。現在一児の父でもあるOddisseに、彼はこのような質問を投げている。

MELODOWNZ:"楽曲制作やツアー等で忙しい日々を送っていると思うが、家族との時間と仕事のバランスをどのように取っているんだ?"

Oddisee:”家庭を支える為に、平日は週5日働き、日が昇る頃に仕事に行き、出来るだけ日が沈む頃に家に戻る。土曜日は家族との時間を過ごすね。一般的な父親と特に変わりはないかな。”

また、楽曲制作の工程については、

MELODOWNZ:”あなたのようなクリエイティブな音楽を作る為に、1アーティストとして楽曲制作のプロセスについて是非教えて欲しい。”

Oddisee:”かなりシンプルだと思うよ。アルバムを作ろうと思ったら、まずアルバムのタイトルを考え、アルバムのコンセプトを決めていく。それから12曲だったら12曲分の曲をテーマにそって全て揃えてからリリックを書き出す。そして12曲分レコーディングし、ミックスして仕上げていく。1つの本を作りあげていく感覚だね。”

最後に、今後さらにステップアップしていきたいと言うMELODOWNZに対しOddiseeはこのような助言をしている。

Oddisee:”楽曲も大事だが、それよりも自身のイメージや、スタイル、スタンスに焦点を当てる事。そして、どれだけ君が人を呼ぶかよりも、どれだけ君が人から呼ばれるか。もし君が、人に呼ばれている数より呼んでいる数の方が多いとするなら、君は今日スタジオに戻る必用があるね。”

抽象的であるが、先輩ラッパーとして少し厳しいながらも、この世界で息の長いアーティストでいるための重要な助言を、後輩のMELODOWNZに残した。


自身のライムで世界が1つに繋がる事が夢だと語る、今ニュージランドを拠点にシーンを盛り上げるラッパーMELODOWNZ。そんな彼だが、昨年の暮れに2枚組のEP『MELO&BLUES』を発表した。ヨーロッパで培った様々な経験などを活かし、より質の高い仕上がりをみせているこのアルバムは、要チェックと言えるだろう。


Writer / g.g

we are one. peace.