「Millennium Jazz Music」のボス、”Gadget”。
2019.03.06

近年、音楽ストリーミング・サービスの充実により、あらゆる独立レーベルが次々に誕生し、世界に名の通るBIGレーベルへと成長したものも多い。あまたの人種が集まり、音楽が盛んなヨーロッパのシーンでは特に、こういった動きがよく見受けられる。ところで、2003年にロンドンで設立された独立レーベル”Millennium Jazz Music”の存在はご存知だろうか。
イギリス、フランス、 カナダ、ドイツ、ネザーランド、ポーランド、アメリカ、ウクライナ、トルコ、ロシア、オーストラリアと数えきれない程の才能溢れるアーティストを抱えているこのレーベルは、Jazzhop、Boombap、Instrumental、Electronic、Experimental Lyrica等と幅広いスタイルを扱っており、リリースはデジタル・CDは主流だが、ヴァイナルやカセットでのリリースも外さない、クラシックに重きを置いている。以前紹介したギリシャのDigginSolidCratesや、メルボルンのDJ Mr.Lobも所属している。そんな巨大な船の舵をとる船長が、ブリティッシュ・カリビアンのビートメイカー/DJ である”Gadget”だ。
”Gadget”
ドミニカで産まれ、北ロンドンで育った彼は、音楽家庭という事もあり物心がついた頃から日常に音楽が溢れていたという。父からもらった音楽機材を幼少期から使いこなし、アンダーグランド・シーンの若きDJ/MCとして様々なクラブやラジオ・ステーションで活躍。音楽への探求心が止まなかったと語る彼は、その後自身のスタジオを立ち上げ、現在はサウンドエンジニア、プロデューサー、ボーカル・アーティスト、ゴースト・ライター、DJ、プロモーターの顔を持ちながら、音楽集団Jazz Jousters、レーベルMillennium Jazz Musicをまとめあげている。
今では数えきれないアーティストを抱えるレーベルMillennium Jazz Musicだが、レーベルを設立する上で、世界中の数多いるアーティストの中から、自身の嗅覚のみで才能を秘めたアーティストを見つけ出すという途方もない努力を経たという。私が初めてMillennium Jazz Musicの存在にたどり着いた時の衝撃は今でも忘れない。センス抜群のJazz Hiphopサウンドに加え、彼らの音楽に対する信念と態度は、当時の私には極めてクールに映り、現在のヨーロッパのシーンの層の厚さを痛感した。音楽を知り尽くす彼の鋭い感覚は、確実に功を成したといえるだろう。
そこで今回は、数多の顔を持つGadgetという人物を、大きな船を動かすボスとしてではなく、グッド・サウンドを世のリスナーに届ける1人のアーティストとして紹介したい。数多存在する彼の楽曲の数々からいくつか厳選し、それとなくジャンル分けにしてみた。時間があるときにでも是非、全ての楽曲を聞いて頂けると幸いだ。私が感じたヨーロッパのジャズ・ヒップホップシーンの分厚さが見えてくるのではないだろうか。
"JAZZ"
"REMIX"
"WORLD MUSIC"
"DEEP"
”SENTIMENTAL”

Writer / g.g
we are one. peace.