スクラッチ・アサシン”ことDJ K-DELIGHT。
2019.03.19

40年という若い歴史で、近代の新カルチャーとして確立したヒップホップ。そのヒップホップを構成する四大要素、Graffiti(グラフィティ)、DJ(ディージェイ)、B-BOYING(ビーボーイング)、MC(エムシー)。その各々の魅力に触発され、ルーツを掘り下げ、研究を重ね、正解のない自分なりの答えを追い求め続けるヒップホップの旅が始まっていく。”ヒップホップとは一体何か。”各々が導きだしたヒップホップの定義を再確認するため、また今日もスキルを磨く。そこで今回は、約20年以上もブレイク・ビーツを愛し、研究に研究を重ね続けた”スクラッチ・アサシン”ことUKの良質ブレイク・ビーツDJ ”K-DELIGHT(ケー・ディライト)”を紹介したい。
彼と言えば、その洗礼されたスクラッチ・アンサンブル。
ここぞといタイミングで擦りを入れる彼の楽曲の数々は、まさにDopeの一言だ。
"K-DELIGHTとは、、"
イングランドはマンチェスターに拠点を置くThe Jeep Beat Collectiveの初期メンバーでもあった彼。The Jeep Beat Collectiveと言えば、スクラッチをアートとして世界に再定義させた集団として有名であり、彼らのアルバム『The Technics Chainsaw Massacre』はアメリカのCMJカレッジ・ラジオ・チャートで1位を獲得している。また、ヒップホップ・カルチャーに於ける最重要組織”Zulu Nation”のメンバーでもある。彼のキャリアの始まりは、同郷のターンテーブリストDJ YODAとのUKツアーからだ。各会場でフロア・ジャックを連発し、多くのヘッズの心を掴んだ彼の名は次第に広まり、2005年にUKで最も成功したグラフィティ・アーティストTemperとのライブ・ミックス・セッション動画は世界的に大きな反響を呼んだ。同年に参加したDMCツアーで世界的に注目を浴びだした彼は、Jazzy Jeff、Rahzel、Wu Tang Clan、Biz Markie、Cold Crush、Souls of Mischief、Cash Money 等のビッグ・ネーム アーティストのサポートDJを行い、現在の地位を確立した。
"スクラッチ"
Jazzy JeffやCash Moneyに大きな影響を受けていると語る彼だが、その極限にまで磨かれたスキルフルなターンテーブル・テクニックに無駄はない。ヒップホップはもちろん、ブレイクス、ソウル、レゲェ、ファンク、エレクトロまで、巧みに扱いこなす彼の音楽幅と選曲は圧巻の一言。こちらのDef Jam Sessionでの彼のスクラッチと熟練の手さばきは是非一度ご覧頂きたい。"DJ KENTARO"
ここ日本に置いても根強いファンを持つ彼だが、日本が誇るDJ KENTAROとのコラボは大きな話題を呼んだ。DJ KENTAROと言えば、2002年のDMC ワールド・チャンピオンで日本を世界に知らしめた重要人物としてご存知の方は多いと思う。
2006年にリリースされた『The Real Things』では、K-DELIGHTが手掛ける未来的ファンクの硬派なビートにVoodoo Guru、Evil ED、そしてDJ KENTAROと豪華客人を招いたB-BOYを真から揺すぶる最高傑作となっている。
"最後に"
世界的に一般常識となった”DJ”、”スクラッチ”という言葉。今では様々な場所にDJブースが設置されており、目にする機会も多くなってきたのではないだろうか。その甚だしいパフォーマンスの裏には音楽への愛はもちろん、日ごろの練習と研究など、多くの時間が費やされているのだ。今後DJのパフォーマンスを観る際には是非、そういった目線でも見ていただきたいと思う。

Writer / g.g
we are one. peace.