Worksong/Spirituals

アフリカにおいて伝統的な宗教行事には独自の音楽を用いることが代々民族性として染み付いており、生活を彩る為に音楽文化をこよなく愛していた。ジャズの原型に大きく関与しているものが労働讃歌「ワークソング」と宗教的な賛美歌「スピリチュアル」である。

2019.03.23

ジャズの発祥、伝統音楽からの派生

18世紀、アフリカから多くの黒人が奴隷としてアメリカでの生活を行うようになった。

アフリカにおいて伝統的な宗教行事には独自のリズムを伴う音楽を用いることが代々民族性として染み付いており、アメリカにやってきた黒人達も生活を彩る為に音楽文化をこよなく愛していた。

その中でジャズの原型に大きく関与しているものが労働讃歌としての「ワークソング」と宗教的な賛美歌としての「スピリチュアル」である。


ブルースの原型につながるワークソング

アフリカの音楽は、一般的に社会的機能をともなっている。葬式など儀式としての音楽、狩猟の成功や民族の繁栄を祈るための音楽など。

社会生活の重要な一部として音楽活動は行われ、西洋文化で発展した鑑賞のための音楽とは異なり、彼らにとって労働歌は生活の一部として、重要な役割を果してきた。

正確に当時の労働においてどのような歌が歌われていたのか、というところは定かではないものの、一部1960年代の記録が録音として残っている。

刑務所で労働に服している黒人達が歌った労働歌には、その痕跡が残されていると考えられる。

労働歌の主な機能は、労働に規則的なリズムを与えて、一定のペースをつくること、また、歌うことによって、労働の辛さや退屈さを緩和することだ。奴隷の雇い主は、奴隷が歌を歌うことによって、より効率的に仕事をこなすことを知り、歌うことを奨励したという。


実際斧を振り下ろす音が入っている。パーカッション楽器のように聞こえるが、これは労働が生み出す音であり、音楽的意図をもったものではない。むしろ、この労働のリズムに合わせて歌が歌われているのだ。

20世紀初頭、黒人の鉄道工夫たちが歌った鉄道の歌も、同じような構造をもつ労働歌だった。ハンマーを振り下ろす動作に伴う歌として、これらの歌はハンマーソングとも呼ばれている。

歌詞は、ハンマーを振り下ろす労働に関するものもあるが、労働と全く関係ない歌詞を持つものも少なくない。 気を紛らわすには、何か別の内容を歌ったほうがよいのだろう。その中で特に多いのは、女性、恋愛、セックスなどだ。


ラグタイムの元と考えられるスピリチュアル

スピリチュアルとは黒人文化における、賛美歌であり、いわゆる「黒人霊歌」のことである。

祖先とのコミュニケーションの手法として黒人文化に深く根付いていたものであり、アフリカ系の黒人をルーツとする重要な音楽的遺産である。

彼らは奴隷制度という極めて苛酷な組織にしばられ、母国語や文化から隔離され、外国の文明と言語に強制的に順応させられる中で、キリスト教文化と混じり合い、独自の発展を遂げていった。

黒人霊歌の多くはそれぞれの共同生活帯としてのコミュニティ単位で作成されたものだったが、一方では、グループのプレッシャーや反動によって影響された、才能に恵まれた個人の創作したものもあった。

多くの黒人霊歌はちがう場所でちがうグループによって歌われてきたため様々なバリエーションが生まれることになった。

それでも多岐に渡るバリエーションが何世代にもわたって口づてに伝承されてきたということを考慮に入れると、その相違はおどろくほど少ない。

これらの黒人霊歌の和声づけは、特色のあるブルー・ノーツ、カデンツァ、一つの音符から次の音符への滑走音(スライド)、スウィングするリズムあるいは生き生きとした手を叩くリズムなどを伴って、アメリカが生んだ最もユニークで最もオリジナルな音楽を造り上げてきた。

また、今日まで生きつづけている、さまざまな音楽形式のルーツでもあり、特にJazzのスタイルに密接に関わるラグタイムの直系の源流と呼べる。

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Writer / MY HOOD

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